今年のM-1グランプリは例年に比べてもネタのレベルが高くなってきていました。
ですがここ数年、ネタを審査する側が、出場芸人よりも注目され、ピリピリすることも・・・。
今回はそんなM-1の審査員について
- M-1の審査員といえば?
- 今大会の審査員紹介
- 各審査員のコメント
- 高得点を獲得しているネタの傾向は?
- 審査員に認めてもらうための対策は?
こちらを調査してみました。
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M-1の審査員といえば?
まずM-1の審査員といって、真っ先に思い浮かべるのは誰でしょう?
代表的なところで、M-1を企画し立ち上げた張本人の島田紳助さん。
同じく初回から審査員として参加していた松本人志さん。
審査員として何度も参加している大御所芸人、オール巨人さん。
同じく、中田カウスさん。
辛口審査で話題となった上沼恵美子さん。
この辺がパッと思い浮かべるところでしょうか。
2010年で一旦終了し、再開した2015年以降からは、中川家・礼二さん、博多大吉さん、富澤たけしさん、立川志らくさんなどがお馴染みの審査員になってきました。
今大会の審査員紹介
今大会の審査員は松本人志さん、中川家・礼二さん、海原ともこさん、塙宣之さん、富澤たけしさん、博多大吉さん、山田邦子さんでした。
昨年から立川志らくさんが海原ともこさんへと変わっただけなので、あまり変わり映えがないですが、まぁこの辺が最近だと固まってきましたけど、変更されている人は、何かしら言ってくれそうな、、、異端児っぽい人。
逆に言うと、どんどん面白みのない無難な答えをする人ばかりになってきたから、テレビ局や主催者側の使いやすそうな人たちばかりになってきたという印象。
上沼恵美子さんとかって一番そういうイメージがあって、良くも悪くもお笑いに厳しくて、それをハッキリ言える人だった。
当然、そういうコメントをすると次の日にはネットでみんな取り上げるので話題になって、悪い場合だと炎上してしまうということが毎年あった。
少し前に、中田敦彦さんが松本人志さんに対して、こういう賞レースなどの審査員をやることを批判していて話題になりましたが、確かに松本人志さんが何か言うと、基本、お笑い界では誰も何も言えないというのはわかっているだけに、上沼恵美子さん的な人は貴重だった。
今年はその枠が海原ともこさんが入り、初審査員ということで注目を集めています。
山田邦子さんが芸歴的には一番古いのかもしれませんが、一時期はすごい売れっ子だったものの、一線を引いてた時期が長かっただけに、昨年は単なる視聴者みたいになっていて、あんまり期待出来ないですよねぇ~(´-∀-`;)
各審査員のコメント
実際に大会で審査のコメントについてまとめてみました。
松本人志
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】審査員泣かせですね。一発目でこんなに受けられると、あんまり高いのをつけられない。ただ、80点台は無いなと思った。あとケムリは個人的に家に遊びに来て、汗臭かった。『アセクサ』と呼んでいた
- 【シシガシラ】掴みがめちゃくちゃ面白かった。掴みが良かった分、その後もずっとハゲネタが続いたので、そこを変えた方が良かった。
- 【さや香】やっぱり令和ロマンに90点つけちゃったので、それは超えていないかなと思った。エンゾは52歳くらいだとは思っていた。
- 【カベポスター】4分に向いていないのかな、6分になればどんどん面白くなっていがきそうに思うが、漫才自体は大好きなんだけど、最後の最後に壁がぺろ~んとなったね。
- 【マユリカ】心地のいい笑いの上げ方が気持ちよかった。ツッコミの中谷くんは、最近珍しい『ヨゴレ』っぽいよね?我々世代の中堅芸人にこの色使いの人がよく居て、そんなに面白い人が居なかったのに、中谷くんは面白いからいい意味で裏切られた。
- 【ヤーレンズ】ずっと面白いから、後半少し笑いが減ってきた感じがするが、面白過ぎてみんな疲れちゃったんじゃないか。それくらい全ボケ誰かにはハマるように出来ていた。自分は『北京原人』のところがハマった。
- 【真空ジェシカ】笑いって遠近感と思うのだが、去年はマニアックすぎて遠すぎたが、近すぎるとベタになってしまうが、今年はちょうど良い距離感で良かったんだが・・・。
- 【ダンビラムーチョ】1曲目のツッコミまでが長かったし、自分だけがわかってないのかなと思ったが、礼二も笑ってなかった。
- 【くらげ】自分は嫌いじゃなかったんだけど、なんでそこまでウケなかったのか?って思ったが、少しミルクボーイを思わせたかなと、そしてそれを超えていないので、だったらもっと違うやり方があったのかなと。
- 【モグライダー】待ち疲れとモグライダーが売れ過ぎたことで、練習不足だなと思った。あと『ジョンソン』も終わっちゃうし・・・。あと芝があがってたのかな?
■最終決戦■
令和ロマンは1本目より強いネタを残していたという感がして、普通は1本目に強いネタを持ってきてとにかく決勝に行こうってすると思うが、2本目の方がパワーがあったので、よく残していたなと思った。
中川家・礼二
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】クルマくんのボケの度胸、空気を自分のものにしてしまうところが良い。
- 【シシガシラ】昨年もそうだったが、ホントにしゃべくり漫才!中盤に少し笑いが来なかったが、終盤に盛り返してきたところがさすがさや香だなと思った。
- 【カベポスター】もうちょっとウケても良かったのかなと、ネタは間違いないもう一つ爆発力があれば良かったのかな、数が少なかったのかなと思った。
- 【マユリカ】80年代のお笑いネットワークを見ているようだった。阪本くんの何とも言えないキャラがじわじわくるから、色々なネタを見てみたい。
- 【ヤーレンズ】心地良いテンポとボケの数がM-1にはよく合ったネタだなと思った。あとくるまくんと同じで楢原くんが雰囲気を持っている。
- 【ダンビラムーチョ】歌ネタは漫才師としては作りやすいんで、それ以外を聞きたかった。
- 【モグライダー】良かったんですけど、もっと笑いが来ても良かった。歌ネタだけど、モグライダーらしく、二人は高度なことをやっていて、決め事が出来ないような中身だからワクワクするんだけど、もう少し笑いが来てもよかったのかな。
■最終決戦■
決勝3組とも良かったのだが、やっぱり令和ロマンが大きいネタを最後に持ってきた。
海原ともこ
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】トップってことを忘れるくらい会場を巻き込んでいた。あんまり動かなそうな人がめちゃくちゃ動いていたから、勢いがあって良かった。
- 【シシガシラ】ワードなどは面白いものがあったが、もっともっとと思ってしまい、爆発しなかった。
- 【さや香】一つの話なのにずっと展開があるのと、エンゾの年を聞いてびっくりした。漫才に入り込んでいた。新山くんが熱くなればなるほど面白いが、今回は石井くんも熱くなったので良いなって思った。
- 【カベポスター】最後安心したのか、ズルズルズル~と言ってたが、あんまり噛んだりしたことは嫌いじゃないので、気にしてないからネタには関係なく面白かった。
- 【マユリカ】中谷くんだけじゃなくて、二人とも少し汚ちゃない、大分キレイになった。漫才は最後にあれだけ爆発的なものがあるのはすごい。
- 【ヤーレンズ】インチキマジシャンみたいな感じだが、ずっとニヤニヤしてしまい、ずっと面白かった。ネタの中に入って一緒にしゃべりたかった。
- 【真空ジェシカ】もっと奇抜なことが出来ると期待してしまったので、始めの方にも爆発するところがあったはず。
- 【ダンビラムーチョ】最初が長かったのと、その最初のところでグッと入り込めなかったので、途中からは入りにくかった。どのタイミングでも入れるタイプの漫才では無かったのかなと。
- 【モグライダー】人が出る漫才が好きなので、ともしげくんが一生懸命やっているところを芝くんが遊ばせるところが好きなので、時間を忘れて入り込んだ、さよなら。
塙宣之
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】自分の空気感にしたのが良かった。掴みと脱線と暴走とが上手いこと入っていた。
- 【シシガシラ】ハゲネタだけだったってことで、爆発力が無かった。
- 【さや香】漫才はめちゃくちゃ上手いし面白い。題材の『ホームステイ』がピンと来なかったが、それに対して、あんなによく怒れるなというところが面白かった。
- 【カベポスター】寄席とか10分や15分の出番だと、お客さんに向けて喋って相方と絡まないことが良くなることがあるが、M-1だと4分しか無いので、相方と掛け合って熱を出さないと難しい。個人的には好きだが、M-1だと難しい。
- 【マユリカ】浴槽でおでん作る友達とか、途中で入れる何でもいい自由なボケのところで外すと結構大変なのだが、そこでしっかりと笑いが取れていたので、もっと欲しがっちゃった。阪本くんの変なボケをいうところをたくさん見たくなったので、もっと入れて欲しかった。
- 【ヤーレンズ】今日出た組の中で、一番題材がわかりやすくて、ベタが一番面白いなって思った。個人的には『カルマ』ってのがすごく面白くて、ボソッというのも全部面白かった。
- 【真空ジェシカ】『映画泥棒に勝った』今日イチ好きなボケだった。もっと訳わかんないネタをやってもらいたかった。
- 【ダンビラムーチョ】寄席で今日のメンバーの中で一番ウケるのはダンビラムーチョだった。ご年配の方などにはすごく好かれるが、この場ではそこまで爆発はしなかった。
- 【くらげ】初めて見たが、こういうシステムだと色々な企業に変えたりも出来るので、良いパッケージだなとは思うけど、どういう人たちなのかが伝わってこなかった。
富澤たけし
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】トップから爆発していた。裏門のくだりは面白くなかったけど、自分で面白くない言っていたのが良かった。
- 【シシガシラ】すごいハゲを活用した良いネタだったけど、後半失速した。
- 【さや香】掴みから熱の上げ方がものすごく上手くて、純粋にもう一本見たいなと思った。
- 【カベポスター】最初の説明のボケが無いところが長い分、もう少しウケないと勢い良く行けないが、最後の噛んだところが面白かったので、1点プラスした。
- 【マユリカ】ツッコミの中谷くんはトーンが高くても全部ちゃんと聞こえし、阪本くんはしゃべってないときでも演技が上手くて、めちゃくちゃ面白かった。
- 【ヤーレンズ】何にも考えずにずっと笑っていられるのが良いなって思った。「しゃがんで立つ」「お~どうしました?」ってのが一番好きだった。よく見たらスーツ短いし、全部面白かった。
- 【真空ジェシカ】ボケが高度なので、自分はヤーレンズのくだらないものにハマってしまったので、この点数になった。
- 【ダンビラムーチョ】非常に面白かったが、1曲目にそんなに長く使わなくても良かったのかな、それだったら、もっと色んなことが出来た。クリスマスに何でコイツらの歌を聴かなきゃいけないんだ。
- 【モグライダー】ともしげがいつもはアップアップなのがいつもは面白いのだが、今日はともしげが出来過ぎていた。
博多大吉
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】最初からめちゃくちゃ面白かった。最後のたたみ方が残念だった。
- 【シシガシラ】やりたいことはすごくわかるけど、もっと面白くなりそうな状態がずっと続いてたことが爆発しなかった原因かな。令和ロマンに91点入れたからこの点数。
- 【さや香】相変わらず、どんどん展開があって、最後にも逆転があってすごく面白かった。
- 【カベポスター】噛んだからどうのとかは無いのだが、爆笑に向けてのフリとしての我慢の時間が長いので、6分とか8分のネタならもっと足せるはずだが、この舞台だとこんな感じかなと思う。
- 【マユリカ】相当緊張してたのか、普段と間が違ったりとか、このネタ普段だともっと面白くて、もっと爆発するのではないか、今日の出来だとこの点数。
- 【ヤーレンズ】ウザい系の漫才師は数多くいるが、散りばめている小ボケがものすごくセンスが光っていて、ずっと笑っていられるが、最後が勿体なかった。個人的には『ちらし寿司』にずっとハマっていた。
- 【真空ジェシカ】今年はオリジナリティとか、新しさを審査対象にしているので、このネタはこの二人にしか出来ないと思うし、ただのギャグの羅列にしか見えるかもしれないけど、ガクくんが要所要所でストーリーに戻すのが上手いと思った。川北くんもこれだけやりたい放題やってて2回連続滑らないのがすごいと思った。
- 【くらげ】劇場とか営業先ではウケるとは思うが、M-1で色々な基準で審査するとなると、同じ味のボケの段積みなので、点数は入れられなかった。
- 【モグライダー】『さそり座の女』のネタの進化版だと思うのだが、歌ネタの宿命というか、歌詞とか展開がわかっているので、それをどう乗り越えていくのか、間を詰めていくかで、爆笑を取れたのかもしれなかった。
山田邦子
■1stラウンド■
- 【令和ロマン】全部の中で一番若い二人で若さ爆発!漫才と関係ないところで、くるまくんが言った「そうなんだすか」が面白かった。
- 【さや香】エンゾ誰なんだ?だんだん新山くんが好きになった。すごい面白かった。
- 【カベポスター】すごくコンビネーションが良くて、安定感があってこのネタは好き。品が良い。
- 【マユリカ】12年やってて初登場ということだけど、すごく面白かった。今まではいつも滑ってたの??いいじゃん『キモダチ』で、流行るかもよ。
- 【ヤーレンズ】12年で初登場だけど、何やっていたの?めちゃくちゃ面白かった。『ザ・残』が友達のスカちゃんってのにすごく似ていた。
- 【くらげ】面白かったけど、この決勝の舞台のレベルが高かったからしょうがない。このネタは女子の好きなブランドなどが出てきて、女子にはウケると思う。
■最終決戦■
さや香が最期のネタ全然良くなかった。
高得点を獲得しているネタの傾向は?
令和ロマン | シシガシラ | さや香 | カベポスター | マユリカ | ヤーレンズ | 真空ジェシカ | ダンビラムーチョ | くらげ | モグライダー | |
松本人志 | 90 | 88 | 89 | 88 | 91 | 93 | 92 | 87 | 86 | 91 |
中川家・礼二 | 94 | 91 | 94 | 92 | 92 | 93 | 91 | 89 | 90 | 91 |
海原ともこ | 94 | 92 | 96 | 95 | 92 | 96 | 91 | 90 | 89 | 93 |
塙宣之 | 93 | 90 | 93 | 89 | 92 | 93 | 91 | 91 | 90 | 91 |
富澤たけし | 94 | 91 | 95 | 88 | 96 | 97 | 93 | 92 | 89 | 90 |
博多大吉 | 91 | 88 | 94 | 89 | 90 | 91 | 95 | 89 | 87 | 89 |
山田邦子 | 92 | 87 | 98 | 94 | 92 | 93 | 90 | 93 | 89 | 87 |
648 | 627 | 659 | 635 | 645 | 656 | 643 | 631 | 620 | 632 | |
3位 | 1位 | 2位 |
各審査員の採点やコメントを聞いていると、やはりそれぞれの好みや視点などが見えてきます。
あとはネタ順によって、採点が影響してしまうということがあるようです。
ただ、疑問に思ってしまったところとして、松本人志さんの採点で1本目の令和ロマンを90点にしたあとに、そこを基準として考えた結果、それに引きずられてしまい、その後3組くらいは得点が伸びなかったように思えました。
実際、1stラウンド1位通過のさや香のネタは令和ロマンよりも低く、中盤以降はその令和ロマンよりも高い点数が軒並み出ており、さや香の最初のネタが一番面白かった自分としては、非常に納得がいかなかったです。
明確な基準を持って、しかも的確な採点をされていたと感じたのは、博多大吉さん、塙宣之さんかなぁ~。
まぁ、こればっかりは難しいところですね(。-`ω-)
審査員に認めてもらうための対策は?
今年の特徴として、優勝した令和ロマンもそうですが、大学のお笑いサークル出身としての出場者が数多くいるようです。
そして、その令和ロマンは賞レース対策として、ネタを選んで本番に挑むそうです。
実際、今年のM-1の決勝戦には4つのネタを用意していて、そこからどれを使うか選んで挑んだそうで、最終決戦後の松本人志さんのコメントでもありましたが、1stラウンドよりも強いネタを持ってこれたことが称賛されていました。
さや香のようにしゃべくり漫才を得意としているコンビが、それを封印して2本目のネタのように挑戦的なことをやったりするのは自分は嫌いじゃないんですし、ヤーレンズのようにキャラ立ちさせたネタが暴走しまくるのも大好きですが、令和ロマンのように、分析しながら勝とうとする、ある意味、受験と同じように対策してくる若者が増えているというところに注目をしなければならないということです。
お笑いを競技的に取り組む若手芸人さんは、今後ももっと目立ってくると思います。
逆に言うと、モグライダーのように一切練習はしない(自主練は別だが・・・)行き当たりばったりの0か100かの大博打のような芸人さんは、売れはするかもしれないですが、賞レースには向かないかもしれない。。。
舞台や番組で披露するネタと賞レース用のネタとを使い分けることで、結果を出す時代になってきたのかもしれないですね。
まとめ
今回は、M-1グランプリ2023の審査員についてまとめてみました。
- M-1の審査員といえばやはり島田紳助さん、松本人志さんという漫才レジェンドたち
- 今大会の審査員は、海原ともこさんが初の審査員として出演されました。
- 各審査員のコメントは、厳しいものから絶賛するものまで、それぞれの基準や視点で様々なものになりました。
- 高得点を獲得しているネタの傾向は、今大会で言うのなら、『歌ネタ』『システム』よりも、しゃべくりや観客に問いかけるネタが絶賛されていました。
- 審査員に認めてもらうための対策は、賞レース自体が競技的なものになりつつあるので、準備するネタも一つでゴリ押しするのではなく、いくつか用意して流れを読みつつ選んでいくのがポイント。
今年は決勝進出したコンビが非常に年齢層が若くなってきました。
それに伴い、昔とはお笑いに取り組む姿勢なども変わってきています。
『時代のニーズ』という言葉はよく聞きますが、お笑い界にも新たな波が来ているのかもしれません。
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